「その建物は、もう死んでいる」
築40年を超えた物件を前に、そう言う人は多いです。外壁は色あせ、給湯器は古く、空室が目立つ。仲介の話は、取り壊して土地として売る方向にばかり進みます。
私は、そういう建物ばかり買ってきました。いまはどの物件にも灯りがともり、毎月きちんと家賃が入ってきます。
建物は、死んでいなかった。ただ、正しく直してくれる人と、正しく数える人がいなかっただけでした。
はじめまして。『築古転生士』を書いている者です。このページでは、私が何者で、なぜ古い建物ばかり買い、なぜ毎日ブログを書いているのかをお話しします。記事を信じていいかどうかを判断する材料として、5分だけお付き合いください。
図面が読める大家
私は元設備設計士です。建物の給排水・暖房・換気を図面レベルで設計する仕事を、長く続けてきました。壁の中を配管がどう走り、冬にどこが凍り、給湯器が何年でどう壊れるか。それを「予測する」のが仕事でした。
そして同時に、北海道札幌市で戸建10戸とアパート1棟を持つ、現役の大家でもあります。買うのは築古ばかり。修繕とリフォームは自分で業者に発注し、自分で管理して、建物を再生させてきました。すべての物件が満室で稼働しています(2026年6月時点)。
元設計士として建物の「中身」が分かり、大家として毎月の「収支」を背負っている。この2つを同時にやっている人間は、実はそれほど多くありません。
図面が読めても、私は払っていた
偉そうに書きましたが、大家を始めた頃の私は、業者さんに言われるまま払っていました。
届いた見積書には「外壁補修一式」の一行。金額が妥当かどうか判断できないまま、業者さんを疑うのも失礼な気がして、そのまま振り込む。後から設備設計の知識で計算し直すと、相場よりずっと高い買い物をしていたことが、一度や二度ではありませんでした。
悔しかったのは、損をしたことより、「知識さえあれば防げた」ことです。
図面が読めて、工事の原価構造が分かる元設計士の私ですらそうだった。では、専門知識のない個人の大家さんは、いったいどうやって適正価格を見抜くのか。答えは「見抜けない」でした。大家仲間に聞いて回ると、全員が同じ場所でつまずいていました。「修繕費が高いのか安いのか、分からない」。
日本の賃貸住宅の大半は、個人の大家さんが支えています。その大家さんたちが、値札のない店で毎年何十万円もの買い物をしている。この状況を、私は放っておけませんでした。
「築古転生士」という名前について
古い建物は、放っておけば本当に死にます。雨漏りが構造材を腐らせ、凍結が配管を割り、空室が家賃を削り、やがて「取り壊すしかない」と言われる日が来る。
でも、正しい順番で、正しい金額で手を入れれば、築40年の建物は普通に生き返ります。屋根と配管と給湯器を先に直し、内装は入居者の目に触れる場所だけ。相場を知り、見積書を読み、業者さんと対等に話す。それだけのことで、「死んだ建物」は毎月家賃を生む「金のなる木」に変わる。
私はそれを自分の物件で、何度も見てきました。建物を生き返らせる人、という意味で、このブログに『築古転生士』と名前を付けました。
このブログのたった1つのルール
記事には、私が自分の物件で実際に払った金額、失敗した発注、交渉して下がった事例を、できる限り具体的な数字で書いています。
すべての記事に共通するルールは1つだけです。
自分の物件でやっていないこと、自分の目で確認していないことは、書かない。
ネットで集めた一般論は書きません。元設備設計士として現場で見てきたことと、大家として自分の財布で払ったことだけを書きます。だから記事の中の金額には、すべて根拠があります。
ここで発信していること
- 修繕費の相場と、見積書の読み方。「一式」を分解して、材料費・労務費・諸経費の妥当性を自分で判断する方法。
- 業者選びと発注の実務。相見積もりの取り方、信頼できる業者の見分け方、煽り営業の断り方、そして私自身の失敗。
- 賃貸経営の基礎。原状回復、契約、保険、確定申告など、大家が避けて通れないテーマ。
- 北海道・寒冷地の建物管理。凍結防止、水抜き、除雪、断熱、真冬の緊急対応。全国でもほとんど発信されていない領域です。
- 無料の計算ツール。利回り、減価償却、ローン、譲渡所得税など、判断に使えるシミュレーター7本を公開しています。
記事は、新米大家のユウと、築古転生士の2人の漫画から始まります。難しい話ほど、まず絵で「ああ、あれか」と分かってほしいからです。
あなたへ
夜中に見積書を眺めて、「この金額は普通なのか」と一人で悩んだことはないでしょうか。業者さんに「今すぐやらないと大変なことになる」と言われて、胸がざわついたことは。退去の立会いで、言い返せなかった悔しさは。
大家は、孤独な仕事です。相談できる相手が、身近にいない。私もそうでした。
このブログは、あの頃の私に読ませたかった記事を、一本ずつ書いています。読み終えたときに、見積書を見るのが少しだけ怖くなくなっていたら、それがこのブログの目的です。
あなたの建物も、まだ死んでいません。
運営会社
本ブログは株式会社Vevelib(北海道札幌市北区)が運営しています。大家さんから物件をお預かりして管理する不動産管理会社で、家賃回収から滞納督促、クレーム対応、建物巡回、修繕手配、退去立会いと原状回復、空室対策、リフォームの提案、空き家管理までを行っています。
ブログで公開している修繕の単価や判断基準は、実際の管理業務でそのまま使っているものです。書いていることと、やっていることが、同じです。
会社の詳細は株式会社Vevelib 公式サイトをご覧ください。札幌・北海道の築古物件の修繕や管理、売却・購入のご相談は、公式サイトのお問い合わせフォームから受け付けています。
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