「格安工事」のチラシを信じて業者を呼んだら追加費用が倍になった話

📖 チラシの39万円が、80万円に

1

ポストに「外壁塗装一式39万円」のチラシ。ユウの心は躍った
相場の半分!これで修繕費が浮く。すぐ電話しよう
2

契約後に「足場は別途」「下地補修も別途」「処分費も」…最終80万円…ほぼ倍…
ガーン
「一式」に、何が入っていないかを聞かなかった
3

安さには健全な理由と危険な理由がある。見るのは金額じゃなく「なぜ安いか」だ
築古転生士(元設備設計士 × 大家)のひと言
4

自社施工と閑散期なら健全。一式とグレード落としは危険。「なぜ安いか」を堂々と聞けばいい!
ピカーン!
質問ひとつで、業者の本性が見える
5

項目別の内訳、追加費用の条件を書面で、材料の品番、相場の7割を切ったら立ち止まる、と
頼む前に確認する4つのこと
6

次は「なぜ安いか」を聞いて自社施工の業者に。総額込みの見積もりで、追加ゼロ
価格に選ばれる側から、業者を選ぶ側へ

— 記事本文へ続く —

ポストに入っていた「外壁塗装一式39万円」のチラシ。相場の半分に、若い大家さんの心は躍りました。ところが契約後、足場代や下地補修が「別途」と判明。最終的な支払いは80万円を超え、ほぼ倍になりました。「あのとき項目を確認していれば」と、肩を落としていました。

格安工事のチラシを信じて業者を呼んだら、追加費用が倍になった。そんな後悔をする大家さんが後を絶ちません。安い見積もりには「健全な理由」と「危険な理由」の2種類があります。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、安く見せる仕組みと安い見積もりが来る4つの理由、追加費用が出る典型パターン、そして頼む前に確認する4つのことと相場の限界ラインを整理します。

読み終える頃には、価格に振り回されず、「なぜ安いのか」を堂々と聞いて、自信を持って業者を選べる大家になります。

📖 この記事でわかること

安い見積もりが来る4つの理由(自社施工・閑散期は健全、一式・グレード落としは危険)と、チラシの39万円が80万円になる「別途」の仕組みがわかります。追加費用の典型パターン、頼む前の4つの確認、相場の2〜3割を超える安さは疑う限界ラインを表とチェックリストで確認できます。

目次

🔍 考え方: 安く見せる仕組みと、安い見積もりが来る4つの理由

冒頭の例で重要なのは、安い見積もりそのものが悪ではないという点です。安さには必ず理由があり、その理由は大きく4つに分かれます。1つ目、自社の職人で中間マージンがない。下請けに出さない分、2〜3割安くできる健全な理由です。2つ目、閑散期の稼働確保。職人の手が空く時期の値引きで、これも健全。

3つ目、項目を省いた「一式」見積もり。後から追加費用を請求する手口の典型で、危険な理由です。4つ目、材料や工程のグレードを落とす。数年後の再修繕で逆に高くつく、危険な理由。つまり、見るべきは金額ではなく「なぜ安いのか」の中身です。1と2なら大家にとってお得な出会いで、3と4なら避けるべき相手です。

チラシの「一式39万円」が安く見える仕組みは単純です。塗装の材工だけを39万円にして、足場(15〜20万円)、下地補修(10万円前後)、廃材処分と諸経費(5〜10万円)を「別途」に回す。総額では相場と同じか高いのに、チラシの数字だけが半分に見える。「別途」の一言が、チラシの魔法の正体です。

設備設計の仕事でも、「本体価格」だけを安く見せて、配管、電気、搬入、試運転を別途にする見積もりは珍しくありません。比較は必ず「全部込みの総額」で行う。これが、業界を問わず見積もりを読む基本です。

安さの正体さえ見抜ければ、格安チラシはもう怖くありません。チラシを見たら、「何が入っていて、何が別途か」を最初に聞く。それだけで、39万円が80万円になる展開は避けられます。

安い理由 健全か危険か 見分け方
自社職人で中間マージンなし 健全。2〜3割安くできる 「自社施工ですか」と聞いて即答
閑散期の稼働確保 健全。時期の値引き 工期の希望を聞かれる
項目を省いた「一式」 危険。後から追加請求 内訳を求めると渋る
材料・工程のグレード落とし 危険。数年後に再修繕 品番と塗り回数が書けない

⚠️ やり方: 追加費用が出る典型パターンと、頼む前に確認する4つのこと

追加費用が出る典型パターンは5つ。足場代が別途(外壁・屋根の工事で15〜20万円)。下地補修が別途(ひび、剥がれ、サビの処理で数万円から十数万円)。廃材処分費・養生費・駐車場代が別途(合計で5〜10万円)。「開けてみたら傷んでいた」で追加(下地の腐食、配管の劣化)。諸経費が別途(工事費の10〜15%)。

冒頭の80万円を分解すると、塗装39万円、足場18万円、下地補修12万円、処分費と諸経費11万円。全部、契約前に聞けば分かった項目です。「開けてみたら」の追加だけは事前に確定できませんが、「追加が出る場合は着工前に見積もりと承認」というルールを書面にしておけば、勝手に進むことはありません。

頼む前に確認する4つのこと。見積書が「材料費」「施工費」など項目別に分かれているか。追加費用が発生する条件を契約前に書面で示してくれるか。使用する材料のメーカー名と品番まで明記しているか。安い理由を聞くと「自社施工だから」など具体的に答えるか。この4つが揃う業者は、安くても信頼できます。

札幌の大家さんで、相見積もりのたびに「なぜこの価格でできるのですか」と聞く習慣をつけた人がいます。すると、クロス張替えを相場より2割安く請ける自社施工の業者と出会い、原状回復をまとめて任せて年間の修繕費が約15万円下がりました。変わるきっかけは、安さを疑うのではなく「安さの理由を堂々と聞く」という小さな勇気でした。

理由を聞かれて嫌がる業者は、その時点で候補から外せばいいのです。質問ひとつで業者の本性が見える。この感覚を持てたとき、大家は「価格に選ばれる側」から「業者を選ぶ側」に変わります。

  • ✅ チラシの金額に「何が入っていて、何が別途か」を最初に聞いた
  • ✅ 足場・下地補修・処分費・養生・諸経費が総額に含まれているか確認した
  • ✅ 見積書が項目別に分かれ、材料のメーカー名と品番が書かれているか確認した
  • ✅ 追加費用が出る条件と「着工前に見積もりと承認」のルールを書面にした
  • ✅ 「なぜ安いのか」を聞き、自社施工・閑散期など具体的な答えが返ってきた
  • ✅ 比較は「全部込みの総額」で行った

🚧 マインド: 相場の限界ラインと、悪質業者の最後の手口

見分け方を知っていても、巧妙にすり抜けてくる悪質業者はいます。最後の砦になるのが「価格の限界ライン」の知識です。健全な企業努力で下げられるのは、おおむね相場の2〜3割まで。たとえば30坪のアパートの外壁塗装の相場が80〜120万円なら、50万円を切る提示は一度立ち止まる。クロスの相場が1㎡あたり1,000〜1,200円なら、500円は疑う。

限界ラインを超えた安さには、典型的な手口が付いてきます。「今日契約すればさらに10万円引き」(比較させないための期限)。「近所で工事中なので足場代がサービス」(飛び込み営業の定番)。「モニター価格で特別に」(実際は通常価格の水増し)。どれも、相場の限界を超える安さの理由を、価格以外のもので説明しようとしています。

対応は、他の記事でも書いた通りです。その日は契約しない。写真と見積書を書面でもらう。別の業者に同じ内容で見積もりを頼む。総額で比べる。この4つで、限界ラインを超えた安さは、ほぼ消えます。

相場を知るには、この記事の姉妹記事にある工事別の相場表を手元に置き、自分の物件で実際に払った金額を書き足していくのが近道です。1年で、自分の物件の相場表ができます。それが、チラシの数字に心を躍らせなくなる、一番確実な方法です。

冒頭の大家さんは、80万円の後、次の工事では「なぜ安いのか」を聞いて自社施工の業者を選び、全部込みの総額で見積もりを取り、追加費用ゼロで終えました。「安さを疑うのではなく、理由を聞けばよかった」と話していました。今日やることは、ポストに入っている工事のチラシを1枚出して、「何が別途か」を書き出してみることです。

💡 ポイント

健全な企業努力で下げられるのは相場の2〜3割まで。それを超える安さに「今日契約なら」「近所で工事中」「モニター価格」が付いてきたら、その日は契約せず、総額で比べる。

📌 この記事のまとめ

  • 安い見積もりには健全な理由(自社施工・閑散期)と危険な理由(一式・グレード落とし)があります。チラシの39万円は、足場・下地補修・処分費を「別途」に回して安く見せた数字でした。
  • 頼む前に、項目別の内訳・追加費用の条件・材料の品番・安い理由の説明の4つを確認し、比較は全部込みの総額で。「なぜ安いのか」を堂々と聞けば、業者の本性が見えます。
  • 健全に下げられるのは相場の2〜3割まで。それを超える安さに期限つき値引きが付いてきたら、その日は契約しない。まずは手元のチラシで「何が別途か」を書き出してみてください。

その見積もり、頼む前に見せてください

元設備設計士の筆者が、修繕の見積書を「一式」の中身まで読んで、高いか安いか・何を確認すべきかをお伝えします。まずはお問い合わせフォームから見積書の内容をお送りください。

見積書を見てもらう →

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次