修繕の写真記録を残していなかったせいで退去時に揉めた大家の事例と正しい記録方法

📖 「前からあった」に、言い返せない

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退去立会い。ユウは床の大きなへこみを見つけ、原状回復費18万円を伝えた
このへこみは入居中についたものなので、修繕費をお願いします
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「入居したときからあった」と言われた…入居時の写真が1枚もない…12万円は自己負担…
ガーン
記憶や口約束は、争いになった瞬間に力を持たない
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退去の負担は「入居時と退去時の比較」で決まる。比べる材料がなければ大家が不利だ
築古転生士(元設備設計士 × 大家)のひと言
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入居前・修繕前後・退去時の3回、各4方向。スマホ1台、1部屋15分で盾になる!
ピカーン!
証拠で守れる大家に変わる
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床・壁・水回りを4方向から。日付が分かる形で、物件と部屋ごとにフォルダ分け、と
撮る場所を決めてから、部屋に入る
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次の退去は、入居時の写真を見せたら5分で負担が決まった。揉めなかった
退去立会いが、怖くなくなる

— 記事本文へ続く —

札幌で築28年のアパートを持つ若い大家さんは、退去立会いでフローリングに大きなへこみを見つけ、原状回復費として18万円を伝えました。ところが入居者は「入居したときからあったキズだ」と主張。入居時の写真は1枚もなく、修繕履歴のメモすらありませんでした。証拠がない主張は通らず、12万円分を自己負担。立会いの場で何も言い返せなかった悔しさが、今も忘れられないそうです。

退去立会いで、入居者と「言った言わない」の水掛け論になる大家さんは後を絶ちません。原因のほとんどは、修繕や入居時の写真記録を残していないことです。スマホ1台あれば今日から無料で始められる対策で、退去トラブルの大半は防げます。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、写真がないと退去時に何が起きるか、撮る場所・撮り方・保存の仕方、そして入居時チェックリストとの組み合わせを整理します。

読み終える頃には、退去立会いが怖くなくなり、1部屋15分の記録で数十万円を守れるようになります。

📖 この記事でわかること

退去の負担が「入居時と退去時の比較」で決まり、比べる材料がなければ大家が不利になる理由と、12万円を自己負担した実例がわかります。入居前・修繕前後・退去時の3つのタイミング、各4方向から撮る方法、日付と部屋ごとの保存、現況確認書との組み合わせを表とチェックリストで確認できます。

目次

😨 考え方: 写真がないと、退去立会いで何が起きるか

退去時の負担割合は、証拠で決まります。国土交通省の原状回復ガイドラインでも、判断の前提は「入居時と退去時の状態の比較」です。経年劣化や通常損耗は大家の負担、入居者の善管注意義務(部屋を丁寧に使う義務)の違反は入居者の負担、が原則。ところが比較する材料がなければ、「入居時からあった」という主張を否定できず、大家側が不利になりやすいのが現実です。

冒頭の例で重要なのは、大家さんが悪質だったわけではないという点です。記録の習慣がなかった、ただそれだけで12万円を損しました。「記憶しているから大丈夫」と記録を残さないと、記憶や口約束は、争いになった瞬間に何の力も持ちません。

写真がないと起きることは3つ。入居者の主張を否定できず、大家が負担する。修繕したことを証明できず、業者への支払い根拠も曖昧になる。保険の申請で「損害の証明ができない」と否認される。どれも、写真が数枚あれば防げたものです。

設備設計の仕事では、工事の前・中・後の写真を撮るのが当たり前で、写真のない工事は「やっていない」のと同じ扱いになります。大家の修繕も同じで、写真は「やった証拠」であり「やっていない証拠」でもあります。

逆に言えば、写真記録さえあれば防げたトラブルです。記録を残せる大家は、それだけで一歩先を行きます。退去のたびに「揉めたらどうしよう」と不安になる根本原因は、手元に証拠がないこと。記録の習慣は、この不安そのものを消します。

💡 ポイント

退去の負担は「入居時と退去時の比較」で決まります。比べる材料がなければ大家が不利。記憶や口約束は、争いになった瞬間に何の力も持ちません。

📷 やり方: 撮る場所・撮り方・保存の仕方

記録で大切なのは「いつ・どこを・どんな状態か」が、後から第三者にも分かることです。撮影のタイミングは3つ。入居前(原状)は、全部屋の床・壁・水回りを各4方向から。修繕の前後は、施工前と施工後を同じアングルで、領収書とセットで。退去立会い時は、キズや汚れの接写と、部屋全体の引きの写真。

撮り方のコツは4つ。部屋の四隅から対角に向けて撮る(部屋全体が入る)。キズは接写と、位置が分かる引きの2枚を撮る。定規やコインを置いてサイズを分かるようにする。全ての照明を点け、カーテンを開けて明るく撮る。暗い写真は、後で「見えない」と言われます。

意外と見落としがちなのが、修繕の前後を同じアングルで撮ることです。「ここを直した」という事実が一目で伝わり、業者への支払い根拠にもなり、税務上の「原状回復」の証明にもなります。費用はスマホなら0円、クラウド保存を使っても月数百円程度です。

保存は、撮影日が分かる形で、物件・部屋ごとにフォルダ分けします。スマホのカメラは日付を自動で記録しますが、フォルダ名に「201号室_2026-04_入居前」のように日付を入れておくと、探すときに迷いません。クラウドに自動でバックアップされる設定にしておけば、スマホを替えても消えません。

ここまでやっても、かかる時間は1部屋あたり15分ほどです。たった15分の写真記録が、数十万円の損失から守る盾になります。これなら今日から始められます。退去のたびに15分を惜しんで、数十万円を失う方がずっと高くつきます。

タイミング 撮るもの 残すもの
入居前(原状) 全部屋の床・壁・水回りを各4方向 現況確認書に双方サイン
修繕の前後 施工前・施工後を同じアングル 見積書・領収書とセット
退去立会い時 キズ・汚れの接写と部屋全体の引き 入居時写真と並べて負担を決める
突発の破損 直す前の被害箇所と型番 保険申請の証拠

🏆 マインド: 入居時チェックリストとの組み合わせで、証拠で守れる大家に

写真の力を最大にするのは、入居時チェックリスト(現況確認書)との組み合わせです。入居時に、入居者と一緒に部屋を見て、床・壁・建具・設備の状態をリストに記入し、写真を撮り、双方がサインする。この1枚があると、退去時の比較は「写真とリスト」対「記憶」ではなく、「双方が確認した記録」対「記憶」になります。

現況確認書の項目は、部屋ごとに、床(キズ・へこみ・汚れ)、壁とクロス(キズ・汚れ・画鋲の穴)、建具(ドア・引き戸・網戸)、設備(給湯器・コンロ・換気扇・エアコン)、水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)。「あり・なし」と、ありなら写真番号を書く。入居者にも控えを渡します。

退去立会いの前に、入居時の写真とリストを見返しておきます。「床のへこみは入居時からあり、写真番号3」と分かっていれば、立会いで迷いません。逆に入居時にない傷は、写真を並べて示すだけで、入居者も納得しやすい。記録がある側は、落ち着いて話せます。

筆者の物件でも、この仕組みを始めてから、退去精算での揉め事はゼロになりました。特別なことではなく、写真とサインのある1枚があるだけです。精算の根拠を示せると、後ろめたさのない請求ができ、入居者との関係も壊れません。

冒頭の大家さんは、12万円の後、次の入居から現況確認書と入居時の写真を始め、次の退去では入居時の写真を見せて5分で負担が決まりました。「立会いが怖くなくなった」と話していました。今日やることは、いま空いている部屋、または次に入居が決まる部屋で、4方向の写真を撮ってフォルダを1つ作ることです。

  • ✅ 入居前に全部屋の床・壁・水回りを各4方向から撮影した
  • ✅ 入居時チェックリスト(現況確認書)に記入し、入居者と双方サインした
  • ✅ 修繕の前後を同じアングルで撮り、見積書・領収書とセットで保存した
  • ✅ 写真は撮影日が分かる状態で、物件・部屋ごとにフォルダ分けした
  • ✅ クラウドに自動バックアップされる設定にした
  • ✅ 退去立会いの前に、入居時の写真とリストを見返した

📌 この記事のまとめ

  • 退去の負担は「入居時と退去時の比較」で決まり、比べる材料がなければ大家が不利になります。記憶や口約束は、争いになった瞬間に何の力も持ちません。
  • 撮るタイミングは入居前・修繕前後・退去立会いの3回。床・壁・水回りを各4方向から、日付が分かる形で物件と部屋ごとにフォルダ分け。1部屋15分で数十万円の盾になります。
  • 入居時チェックリストに双方サインをもらい、写真と組み合わせれば揉め事はゼロに近づきます。まずは次に入居が決まる部屋で、4方向の写真を撮ってフォルダを1つ作ってください。
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