「保険は入っているから安心」と思っていたのに、いざ事故が起きたら補償対象外で全額自己負担。
そんな大家さんが後を絶ちません。
賃貸物件の火災保険は、種類や特約の選び方ひとつで保険料も補償範囲も大きく変わります。 北海道・札幌の築古物件を所有するあなたに向けて、火災保険の正しい選び方を解説します。
建築設計と現役大家の視点から、損しない契約のコツをお伝えします。
【大家が加入すべき火災保険の種類と補償内容】
この記事でわかること:建物所有者として加入する火災保険の種類、必須の補償内容、選ぶべき特約
賃貸物件用の火災保険は「住宅用」ではなく「賃貸住宅向け」の専用商品を選ぶのが基本です。
住宅用に加入していると、入居者からの賠償請求で補償が下りないことがあります。
大家が加入すべき主な補償内容:
火災 / 落雷 / 破裂 / 爆発 / 風災 / 雪災 / ひょう災(寒冷地は必須)/ 水濡れ(給排水設備の事故)/ 建物の破損 / 汚損 / 施設賠償責任特約(重要)
特に北海道・札幌の物件では、雪災と凍結による水漏れ補償は外せません。
実際にあった話ですが、築30年のアパートで給湯管が凍結破裂したケース。
階下の入居者の家財まで損害が出ました。 施設賠償責任特約のおかげで、300万円が全額カバーされました。
建物評価額2,000万円のアパートなら、年間保険料は2万〜4万円が相場です。 10年一括契約なら、約20%の割引が受けられる商品もあります。
ここで重要なのは「家賃収入特約」の有無です。 火災で半年間貸せなくなった場合、
月家賃5万円×6戸の損失も補償できます。
【入居者に加入させるべき保険と特約の選び方】
この記事でわかること:入居者に必須の家財保険、加入させるべき特約、契約時の指定方法
火災保険の本体は大家が加入し、入居者には家財と賠償系の保険に入ってもらうのが正解です。
具体的には「家財保険+借家人賠償責任保険+個人賠償責任保険」の3点セットが必須です。
入居者向け保険でチェックすべき5項目:
・借家人賠償責任は1事故1,000万円以上
・個人賠償責任は1億円以上を推奨
・家財保険金額は単身200万円
・家族500万円が目安
・地震時諸費用特約の有無
・年間保険料5,000〜10,000円が相場
私が管理している築28年のアパートでこんなケースがありました。
入居者が外出中、洗濯機の蛇口を出しっぱなしにして階下へ水漏れ。
修繕費と慰謝料で総額80万円の損害が発生しました。
このケースで重要なのは、借家人賠償責任保険に入っていた点です。
入居者の自己負担はゼロで済みました。
「自分で好きな保険に入りたい」という入居者もいます。
3つの補償が揃っているか、証券コピーで必ず確認しましょう。
札幌の冬場は凍結事故が多発します。 保険未加入の入居者は、大家にとって大きなリスクです。
【火災保険で実際に補償される・されないケース】

この記事でわかること:補償対象外で支払いを拒否される典型例、補償が下りるケースとの違い
火災保険には「補償されない落とし穴」が必ずあります。
先にNG例から確認しましょう。
火災保険で補償されない代表的なケース(NG例):
・経年劣化による雨漏り
・シロアリ被害
・地震/噴火/津波による火災
・故意・重過失による事故
・洗濯機ホースの劣化による水漏れ
・配管の単なる老朽化
ここで質問です。 あなたの管理物件は、最後に給湯器や配管の点検をしたのはいつですか?
一方、補償される代表的なケース:
・突発的な配管事故による水漏れ
・暴風雨による屋根の破損
・落雷による設備の故障
・積雪荷重による建物の損傷
築古物件の大家さんで多い失敗が「雨漏り=火災保険でカバー」と思い込むこと。
経年劣化と判断されると、修繕費50万〜100万円が全額自己負担になります。
正しい対処法は、被害発生直後に複数枚の写真を撮影することです。
「突発的な事故」として申請する根拠を残しましょう。
築年数だけで判断されるわけではなく、原因の立証が鍵となります。
【保険料を安くするための比較ポイントと注意点】
この記事でわかること:保険料を抑える具体的な方法、削ってはいけない補償、比較サイトの活用法
火災保険料は同じ補償内容でも、会社によって最大2倍の差が出ます。
むやみに安い商品を選ぶと、肝心な時に補償が下りないリスクがあります。
保険料を抑える5つのポイント:
・複数社で一括見積もりを取る(最低3社)
・10年一括契約で割引を活用する
・建物評価額を適正に算出する(過大評価NG)
・不要な特約は外す
・無事故割引のある会社を選ぶ
A社・B社・C社の比較(札幌の築古アパート想定):
| 保険会社タイプ | 年間保険料 | 補償範囲 | 事故対応 |
|---|---|---|---|
| A社 大手損保 |
約4万円 | ◎ 広い | ◎ 早い |
| B社 共済系 ★おすすめ |
約2.5万円 | ○ 標準 | ○ まずまず |
| C社 ネット型 |
約2万円 | △ 限定的 | △ 遅め |
※札幌の築古アパート(建物評価額2,000万円規模)を想定した比較例です。
おすすめはB社の共済系です。 札幌の積雪・凍結事故に強く、価格と補償のバランスが良いためです。
C社のネット型は初心者大家さんには不向きです。
事故対応が電話のみで時間がかかります。 書類作成も自分で行う負担が発生します。
私の経験上、保険会社とのやり取りに時間を取られると本業に支障が出ます。
札幌の冬場は事故が集中するため、対応の早さは値段以上に重要です。
【地震保険の必要性と賃貸物件への影響を解説】

この記事でわかること:地震保険の補償内容、北海道での保険料率、コストに見合うかの判断基準
地震保険は火災保険とセットでしか加入できず、補償額は最大50%までです。
単独で加入できない仕組みになっています。
北海道は地震保険料率が全国でも安い区分(1等地)です。
・建物保険金額1,000万円あたり年6,500円程度
・東京・神奈川と比べると半額以下
・札幌の築古木造アパートでも加入しやすい価格帯
・耐震等級によって最大50%割引
・5年一括払いでさらに割引
実際にあった話です。 2018年の北海道胆振東部地震で、築40年のアパートが被害を受けました。
外壁の一部損壊と給湯器の落下被害が発生。 知人の大家さんは、地震保険から80万円の支払いを受けました。
このケースで重要なのは、地震が原因の火災は火災保険では補償されない点です。
地震保険に未加入だと、地震→火災のダブル被害でも全額自己負担です。
築古物件の大家さんほど、地震保険のコスパは高いと言えます。
札幌は保険料率が安いため、加入しない選択肢はもったいないと感じます。
【まとめ】
火災保険は「入っていれば安心」ではなく「正しく選んでこそ安心」です。
賃貸物件は大家用と入居者用、両方の補償を見直しましょう。 特約と補償範囲を物件に合わせて最適化することが重要です。
北海道・札幌の築古物件こそ、雪災・凍結・地震のリスク対策は必須。
今すぐ保険証券を取り出し、補償内容をチェックしてみてください。
見直し1回で、年間保険料を3万円以上節約できることも珍しくありません。
次に読む記事:賃貸経営の確定申告入門 ─ 火災保険料の経費計上と修繕費の正しい仕分け方


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