📖 保険は入居者が入ってるから大丈夫?
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「火災保険は入居者が入っているから大丈夫」。物件を買ったとき、そう思って自宅用の保険のままにしていた若い大家さんがいました。1月、給湯管が凍結して破裂し、階下の入居者の家財まで水浸しに。保険会社の答えは「その事故は対象外」。修繕費と入居者への賠償を合わせて、全額自腹になりました。
賃貸物件の火災保険は、種類や特約の選び方ひとつで、保険料も補償される範囲も大きく変わります。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、大家が入るべき賃貸住宅向けの保険と施設賠償責任特約、入居者に入ってもらう3点セット、補償される事故とされない事故、そして保険料を抑える比べ方を整理します。
読み終える頃には、いま手元にある保険証券のどこを見ればいいかが分かり、北海道の物件で外せない補償が判断できるようになります。
📖 この記事でわかること
大家が入るべき賃貸住宅向け火災保険の補償と、施設賠償責任特約・家賃収入特約が要る理由がわかります。入居者に入ってもらう家財・借家人賠償・個人賠償の3点セット、補償される事故とされない事故の線引き、地震保険の考え方、保険料を抑える比べ方を、表とチェックリストで確認できます。
🔥 考え方: 大家が入る保険と、入居者に入ってもらう保険は別物
賃貸物件の火災保険は「住宅用」ではなく「賃貸住宅向け」の専用商品を選ぶのが基本です。自宅用の保険のままだと、入居者からの賠償請求で補償が出ないことがあります。大家が加入すべき主な補償は、火災、落雷、破裂・爆発、風災、雪災、ひょう災、給排水設備の事故による水濡れ、建物の破損・汚損、そして施設賠償責任特約です。
北海道・札幌の物件では、雪災と凍結による水漏れの補償は外せません。実際にあった話です。築30年のアパートで給湯管が凍結して破裂し、階下の入居者の家財まで損害が出ました。施設賠償責任特約があったおかげで、数百万円の損害が全額カバーされた例があります。冒頭の大家さんとの違いは、この特約の有無だけでした。
建物評価額2,000万円のアパートなら、年間の保険料は2〜4万円が目安です。長期一括契約で割引が受けられる商品もあります。もう1つ重要なのが「家賃収入特約」です。火災で半年間貸せなくなった場合、その間の家賃の損失を補償できます。築古物件ほど、この特約の価値は高くなります。
入居者には、家財と賠償系の保険に入ってもらいます。具体的には「家財保険+借家人賠償責任保険+個人賠償責任保険」の3点セットです。借家人賠償は1事故1,000万円以上、個人賠償は1億円以上、家財の保険金額は単身200万円・家族500万円が目安で、年間保険料は5,000〜10,000円が相場です。
「自分で好きな保険に入りたい」という入居者もいます。それ自体は構いませんが、3つの補償が揃っているかを証券の写しで必ず確認してください。筆者の物件で、入居者が洗濯機の蛇口を出しっぱなしにして階下へ水漏れし、修繕費と慰謝料で80万円ほどの損害が出たことがあります。借家人賠償責任保険に入っていたので、入居者の自己負担はゼロで済みました。
💡 ポイント
大家は「賃貸住宅向け」の保険に施設賠償責任特約と家賃収入特約を。入居者には家財・借家人賠償・個人賠償の3点セットを。両方が揃って初めて守られます。
🔍 やり方: 補償される事故・されない事故と、保険料の抑え方
火災保険には「補償されない落とし穴」が必ずあります。補償されない代表例は、経年劣化による雨漏り、シロアリの被害、地震・噴火・津波による火災、故意や重大な過失による事故、洗濯機ホースの劣化による水漏れ、配管の単なる老朽化です。一方、補償される代表例は、突発的な配管事故による水漏れ、暴風雨による屋根の破損、落雷による設備の故障、積雪の重みによる建物の損傷です。
築古物件の大家さんに多い失敗が「雨漏り=火災保険で直せる」という思い込みです。経年劣化と判断されると、修繕費は全額自己負担になります。正しい対処は、被害が起きた直後に写真を何枚も撮り、「突発的な事故」として申請する根拠を残すことです。築年数だけで判断されるわけではなく、原因の立証が鍵になります。
保険料は、同じ補償内容でも会社によって大きな差が出ます。抑えるポイントは5つです。複数社で見積もりを取る(最低3社)。長期一括契約の割引を使う。建物評価額を適正に算出する(過大評価は保険料の無駄)。不要な特約は外す。無事故割引のある会社を選ぶ。ただし、むやみに安い商品を選ぶと、肝心なときに補償が出ないリスクがあります。
比べるときは、保険料だけでなく事故対応の速さを見てください。札幌の冬は事故が集中するため、電話が通じず書類を自分で作る負担が大きい商品は、本業のある大家には向きません。価格と補償のバランスがよく、寒冷地の事故に慣れた会社を選ぶのが現実的です。
地震保険は火災保険とセットでしか入れず、補償額は火災保険の半分までです。北海道は地震保険料率が全国でも安い区分で、築古の木造アパートでも入りやすい価格帯です。地震が原因の火災は火災保険では補償されないので、未加入だと地震と火災の両方が自己負担になります。筆者は、築古物件ほど地震保険の費用対効果は高いと考えています。
| 事故の例 | 補償 | 備考 |
|---|---|---|
| 凍結による配管の突発的な破裂 | される | 写真と原因の記録を残す |
| 積雪の重みによる屋根の損傷 | される | 雪災の補償が必要 |
| 経年劣化による雨漏り | されない | 点検と修繕で防ぐ |
| 洗濯機ホースの劣化による水漏れ | されない | 入居者への案内で防ぐ |
| 地震が原因の火災 | 火災保険では されない | 地震保険で備える |
🧭 マインド: 証券を取り出して、今日確認する
保険は「入っていれば安心」ではなく「正しく選んでこそ安心」です。冒頭の大家さんは、事故の後に賃貸住宅向けの保険に切り替え、施設賠償責任特約と家賃収入特約を付けました。翌冬、別の部屋で凍結事故が起きたときは、特約で全額カバーされたそうです。「最初から見直しておけば」と話していました。
見直しの手順は簡単です。まず自分の証券を取り出し、「賃貸住宅向け」か「住宅用」かを確認する。次に、雪災、水濡れ、施設賠償責任、家賃収入の4つが入っているかを見る。それから、入居者の保険証券の写しを集め、家財・借家人賠償・個人賠償の3つが揃っているかを確認する。ここまでで、大きな穴はほぼ塞がります。
そのうえで、3社の見積もりを取って比べます。補償内容を同じ条件にそろえ、保険料と事故対応の速さで選ぶ。見直し1回で年間の保険料を数万円減らせることも珍しくありませんし、逆に足りない補償が見つかることもあります。どちらにしても、知らないまま冬を迎えるより確実に安全です。
北海道・札幌の築古物件は、雪災・凍結・地震のリスクが本州より高い分、保険の設計が収益に直結します。保険料は経費になるので、必要な補償を削って節約するのは本末転倒です。削るのは重複や過大評価の分だけにしてください。
今日やることは1つ。保険証券を取り出して、補償内容のページを開くことです。そこに「施設賠償責任」の文字がなければ、次の冬までに見直してください。
- ✅ 自分の火災保険が「賃貸住宅向け」の商品であることを確認した
- ✅ 雪災・給排水の水濡れ・施設賠償責任・家賃収入の補償が入っているか見た
- ✅ 入居者の保険証券の写しで、家財・借家人賠償・個人賠償の3点を確認した
- ✅ 補償される事故とされない事故を把握し、事故時は直後に写真を撮ると決めた
- ✅ 同じ条件で3社の見積もりを取り、保険料と事故対応の速さで比べた
- ✅ 地震保険の加入の有無を、北海道の料率と自分の物件で判断した
📌 この記事のまとめ
- 「入居者が入っているから大丈夫」は誤解です。大家は賃貸住宅向けの保険に施設賠償責任特約と家賃収入特約を、入居者には家財・借家人賠償・個人賠償の3点セットを。
- 経年劣化の雨漏りや配管の老朽化は補償されません。事故が起きたら直後に写真を撮り、突発的な事故として申請する根拠を残しましょう。
- 3社で見積もりを取り、保険料だけでなく事故対応の速さで選ぶ。まずは今日、保険証券を取り出して「施設賠償責任」の文字があるか確認してください。


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