📖 築30年、もう売るしかない?
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「築30年で古いから決まらない。もう売るしかない」。8戸中3戸が半年空いたままの物件を持つ若い大家さんから、そんな相談がありました。退去後にフルリフォームの見積もりを取ったら180万円。回収の計算が合わず、売却を考え始めていたそうです。
築古物件の賃貸経営は、戦略さえ正しければ新築より高い利回りで安定します。決断は3つです。「安く買えた」強みを活かす考え方に切り替えること、目に入る場所だけ直す最小限のリフォームにすること、写真と入居者対応で長く住んでもらうこと。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、この3つの決断を実例とともに整理します。
読み終える頃には、「築古=ボロい」ではなく「築古=戦略次第で高収益化できる」という見方に変わり、今週やることが決まります。
📖 この記事でわかること
築古物件が新築より利回りで有利になる仕組みと、「全部きれいにすれば決まる」が間違いな理由がわかります。目に入る場所だけ直す最小限のリフォームの基準と費用感、お金をかけない差別化、長期入居につながる家賃と対応、成功する大家の習慣を表とチェックリストで確認できます。
🏚️ 考え方: 決断1「安く買えた」強みを活かす
築古物件の最大の武器は「安く買える」ことです。同じエリアでも、築30年と築10年では物件価格が2〜3倍違うことが珍しくありません。札幌市内で、築35年・1棟8戸のアパートが2,000万円台、築10年の同規模物件が5,000万円台という事例がありました。家賃はそこまで変わらないため、利回りで圧倒的に有利になります。
築古物件の強みは3つあります。購入価格が安く、自己資金が少なくても始められる。減価償却を短い期間で計上でき、税務上の扱いが有利になりやすい。修繕履歴が長く残っているので、次に何が壊れるかの予測がしやすい。筆者が管理する札幌の築40年アパートは、表面利回り14%超で稼働しています。
冒頭の大家さんの物件も、購入価格は周辺の新しい物件の3分の1でした。つまり、家賃を少し下げても、修繕に多少かけても、利回りでは新築に負けない。この前提を忘れて「新築並みにきれいにしないと決まらない」と考えた瞬間に、180万円の見積もりが出てきます。
決断1は、発想の転換です。新築の見栄えで勝負せず、コスト構造の有利さで勝つ。築古は「ボロい物件」ではなく「安く仕入れた物件」として扱う。ここから、直す範囲も、家賃も、見せ方も決まっていきます。
「築古だからもう無理だ」とあきらめて、満室のチャンスを逃している大家さんが後を絶ちません。売る前に、自分の物件の購入価格と家賃を紙に書いてみてください。利回りの数字が、まだ戦えることを教えてくれます。
💡 ポイント
築古の武器は「安く買えた」ことです。新築の見栄えで勝負せず、コスト構造の有利さで勝つ。この発想転換が、直す範囲と見せ方を決めます。
🔧 やり方: 決断2「目に入る場所だけ直す」最小限のリフォーム
やりがちな間違いは「全部きれいにすれば決まる」という思い込みです。冒頭の180万円の見積もりを一緒に見直すと、本当に必要だったのはクロスの張替えと水回りのコーキングの打ち替え、それに写真の撮り直しだけ。45万円で十分でした。
築古物件のリフォームを判断する基準は3つです。内見時に「目に入る場所」だけ整える(玄関・水回り・床)。設備は「壊れていなければ交換しない」が原則。天井裏や床下は、不具合がなければ触らない。この3つで、見積もりは大きく変わります。
費用感の目安を挙げると、クロスの張替えは6畳の部屋で4〜6万円、フローリングの上貼りは1部屋8〜12万円、キッチンのコーキング打ち替えは1万円以下が相場です。冬が寒い札幌では、内窓の追加(1窓3〜5万円)が「設備感」を一気に上げる隠れた当たり手になります。
入居者は「新品同様」を求めていません。清潔感と機能性さえ整えば、十分に決まります。設備設計の仕事で多くの現場を見てきましたが、内見で決まる部屋と決まらない部屋の差は、リフォーム費用の大小ではなく、玄関を開けた瞬間の印象と水回りの清潔さでした。
決断2は、直す範囲を絞ることです。見積もりを取るときは「全部」ではなく「玄関・水回り・床の目に入る部分」と範囲を指定してください。それだけで、180万円が45万円になる物件は珍しくありません。
| 場所 | やること | 費用の目安 |
|---|---|---|
| クロス | 目に入る面を張り替え(量産品で十分) | 6畳で4〜6万円 |
| 床 | 傷が目立つ部屋だけ上貼り | 1部屋8〜12万円 |
| 水回り | コーキング打ち替えと清掃 | 1万円以下〜数万円 |
| 窓(札幌) | 内窓の追加で設備感を上げる | 1窓3〜5万円 |
| 設備 | 壊れていなければ交換しない | 0円 |
🧭 マインド: 決断3「見せ方と対応」で長く住んでもらう
築古物件の賃貸経営では、「物件そのもの」より「見せ方」で差がつくことが圧倒的に多いです。同じ家賃4.5万円・築35年・1Kでも、写真の明るさひとつで問い合わせ数が3倍違うことがあります。あなたの物件の掲載写真を最後に撮り直したのはいつでしょうか。
お金をかけない差別化を最低5つ持ってください。室内写真は窓を開けて自然光で撮る。玄関に観葉植物を1鉢置く。ペット可・楽器可など「不可」が多い条件を解禁する。無料インターネットを導入する(月数千円)。洗濯機置き場の防水パンを白く塗り替える。1個10万円の改修より、3,000円の演出を10個重ねる方が効果は高いことが多いのです。札幌では内見が1〜2月に集中するため、玄関前の除雪状況も差別化になります。
家賃は「相場の少し下」を狙うのが鉄則です。ある大家さんは「築古だから1万円下げないと決まらない」と思い込み、相場4.5万円のところを3.5万円で出していました。実際には2,000円下げるだけで十分に決まり、年間12万円の機会損失でした。
長期入居を実現する対応は5つです。更新料は取らないか半額にする。不具合の連絡には24時間以内に必ず一次返信する。2年目以降の家賃は据え置き、間違っても上げない。退去予告を受けたら理由を必ず聞く。冬の暖房コストへの配慮を一言伝える(札幌では特に重要)。筆者の物件の平均入居期間が6年を超えているのは、家賃を下げたからではなく、この対応の結果です。入居者が1年早く退去するだけで、原状回復費20〜30万円と空室1〜2か月分の家賃が消えます。
結果を出している築古の大家さんには共通の習慣があります。月1回は自分で物件を見に行く。修繕費は家賃の5〜8%を上限に管理する。修繕業者を3社以上ストックし相見積もりを取る。空室が60日を超えたら家賃ではなく広告料で動く。年に1度は収支表を作り直し、保有か売却かを判断する。冒頭の大家さんは、この3つの決断で3か月後に満室になり、「売らなくてよかった」と話していました。まずは今週、自分の物件の家賃と修繕履歴を1枚の紙に書き出してみてください。
- ✅ 購入価格と家賃から利回りを出し、「安く買えた」強みを確認した
- ✅ リフォームの範囲を玄関・水回り・床の「目に入る場所」に絞った
- ✅ 壊れていない設備は交換しないと決めた
- ✅ 掲載写真を自然光で撮り直し、玄関に観葉植物を置いた
- ✅ 家賃は相場の少し下(数千円)にとどめ、下げすぎない
- ✅ 不具合連絡への24時間以内の返信と、退去理由の聞き取りを習慣にした
📌 この記事のまとめ
- 築古物件の武器は「安く買えた」ことです。新築の見栄えではなくコスト構造で勝つ、と発想を切り替えるのが最初の決断です。
- リフォームは目に入る場所だけ、設備は壊れるまで交換しない。180万円の見積もりが45万円になる物件は珍しくありません。
- 写真と対応で長く住んでもらう。家賃は相場の少し下、不具合連絡には24時間以内に返信。今週、自分の物件の家賃と修繕履歴を1枚の紙に書き出すことから始めてください。
札幌・北海道の築古物件のご相談
筆者が所属する Vevelib で、物件の売却・購入・修繕のご相談を受けています。「この物件、直して貸すべきか売るべきか」といった段階のご相談でも大丈夫です。


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