📖 税理士任せで、何が経費か知らない
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確定申告の時期になると、領収書をかき集めて慌てる大家さんが本当に多いです。ある若い大家さんは、初年度は税理士に丸投げして「何が経費になっているか正直分からない」状態でした。確認すると、物件を見に行く交通費やガソリン代、通信費がまったく入っていない。翌年、自分で仕組みを作って申告したところ、還付が15万円ほど増えたそうです。
賃貸経営の確定申告は、知っているかどうかで税額が変わります。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、申告が必要になる基準と所得の区分、計上漏れしやすい経費、修繕費と資本的支出の分け方、青色申告の始め方を、新米大家向けに整理します。税の制度は年度で変わるので、金額や要件は最新の情報を確認し、迷う点は税理士に相談することを前提にした「基本の地図」として読んでください。
読み終える頃には、領収書を捨てる前に「これは物件のためか」と問う習慣と、来年の2月に慌てないための仕組みが手に入ります。
📖 この記事でわかること
賃貸収入で確定申告が必要になる基準と、不動産所得の「事業的規模」で扱いが変わる仕組みがわかります。計上漏れしやすい経費と経費にならないもの、修繕費と資本的支出の分け方の目安、青色申告を始める手順と期限、来年慌てないための帳簿の仕組みを、表とチェックリストで確認できます。
📋 考え方: 申告が必要になる基準と、「事業的規模」で変わること
賃貸収入がある人すべてが確定申告をするわけではありませんが、給与以外の所得が年間20万円を超える場合は、原則として申告が必要です。1Kを2戸持って家賃が月8万円なら年間192万円。当然、対象になります。賃貸収入は基本的に「不動産所得」として申告します。
扱いが大きく変わるのが「事業的規模」かどうかです。目安としてよく使われるのが、戸建て5棟以上か部屋10室以上という基準です。事業的規模なら、青色申告の特別控除が大きい方の額を使えたり、家族への給与や設備の除却損を経費にしやすくなったりします。基準未満だと、控除は小さい方の額になります。
筆者の物件は事業的規模に該当しますが、新米大家の多くは最初は基準未満です。それでも青色申告の小さい方の控除は使えるので、「規模が小さいから関係ない」ではありません。まず自分がどちらかを確認し、それに合った申告の形を選ぶのが最初の一歩です。
冒頭の大家さんが最初の年に損をしたのは、区分や控除の知識がなかったからではなく、「何が経費か」を自分で判断する習慣がなかったからでした。税理士に任せること自体は悪くありませんが、渡す領収書の範囲を決めるのは大家です。渡していない領収書は、税理士も経費にできません。
ここで書く金額や要件は、記事を書いた時点の一般的な目安です。制度は変わるので、実際の申告では国税庁の最新の案内を確認し、判断に迷う点は税理士に相談してください。この記事は「何を確認すればいいか」の地図だと考えてください。
💡 ポイント
申告の形は「事業的規模かどうか」で変わりますが、規模が小さくても青色申告の控除は使えます。まず自分の区分を確認し、金額や要件は最新の情報で確かめましょう。
🧾 やり方: 計上漏れしやすい経費と、修繕費と資本的支出の分け方
経費の計上漏れは、大家がもっとも損をしているポイントです。経費にできる主なものは、固定資産税と都市計画税、火災保険や地震保険の保険料、管理委託料、修繕費、共用部の光熱費、ローンの利息(元本は経費にならない)、物件を見に行く交通費やガソリン代、税理士への報酬、書籍代やセミナー参加費、物件専用に使う携帯電話の料金(使用分の按分)です。
逆に経費にできないのは、ローンの元本返済分、自宅の生活費、所得税や住民税そのものです。判断に迷ったら「これは物件のためか」と一度問い、根拠(誰と、どこへ、何のために)をメモしておく。これが損をしないコツです。
確定申告で最も間違えやすいのが、修繕費と資本的支出の区分です。原状回復や維持管理が目的の工事は「修繕費」として、その年の経費にできます。性能を上げたり耐用年数を延ばしたりする工事は「資本的支出」として、何年かに分けて減価償却します。ここを間違えると、本来その年に落とせた工事代が少しずつしか経費にならず、初年度の税負担が跳ね上がります。
たとえば筆者の築35年のアパートで行った外壁の部分塗装は、原状回復が目的なので修繕費です。同じ金額でも「外壁全面を高耐久の塗料に変える」なら価値が上がる工事なので資本的支出になります。判断の目安としては、1件20万円未満、おおむね3年以内の周期で行う工事、金額が小さく判断がつかないものは修繕費として扱えることが多い、とされています。詳細は税理士に確認してください。
業者に見積もりを頼む段階で「修繕」「原状回復」と工事の目的を明記してもらうだけで、申告でも税務調査でも説明がしやすくなります。見積書の書き方が、そのまま税務の根拠になるのです。
| 項目 | 扱い | メモ |
|---|---|---|
| 固定資産税・保険料・管理委託料 | 経費 | 納付書・証券を保管 |
| 物件を見に行く交通費・ガソリン代・通信費 | 経費(按分) | 日付・目的をメモ |
| ローンの利息 | 経費 | 元本は経費にならない |
| 原状回復の工事 | 修繕費(その年の経費) | 見積書に目的を明記 |
| 性能を上げる工事 | 資本的支出(減価償却) | 税理士に確認 |
🧭 マインド: 青色申告を始める。来年慌てない仕組み
青色申告と白色申告で迷うなら、ほぼすべての大家さんは青色申告にすべきです。帳簿の手間は少し増えますが、特別控除と赤字の繰越が使える差は大きい。事業的規模で複式簿記と電子申告まで整えれば大きい方の控除、そうでなくても小さい方の控除が使えます。控除の額は制度で変わるので、最新の数字を確認してください。
申請には期限があります。新しく始めるなら開始から2か月以内、すでに大家をしている人は申告したい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に出します。「面倒だから今年も白色のまま」と1年放置するごとに、控除の分だけ節税の機会を失っていると考えてください。
「自分で申告なんて無理」と思う人ほど、クラウドの会計ソフトを試してほしい。銀行口座やカードと連携し、複式簿記の仕訳を自動で作ってくれます。筆者も自分の物件をすべて自分で記帳・申告しており、税理士費用の分が手元に残っています。使いこなすコツは、物件専用の銀行口座を1つ作る、物件専用のカードを1枚用意する、領収書はスマホで撮って即取り込む、月1回まとめるより週1回入力する、分からない仕訳はソフトの相談機能を使う、の5つです。
冬の札幌は、除雪費、凍結対応、暖房の灯油代など物件関連の支出が増えます。この時期の領収書が一番漏れやすいので、月単位で記録する習慣が特に大事です。冒頭の大家さんは、物件専用口座と週1回の入力を始めてから、翌年の申告が2日で終わったと話していました。
確定申告は、知識ゼロでは確実に損をします。逆に、区分・経費・修繕費の分け方・青色申告・帳簿の仕組みの5つを押さえれば、自分で十分に対応できます。まずは「青色申告承認申請書」と「物件専用口座」の準備から始めてください。迷った点は税理士に聞く。その線引きができれば、税は怖くありません。
- ✅ 自分の賃貸収入が申告対象か、事業的規模かを確認した
- ✅ 交通費・ガソリン代・通信費など、漏れやすい経費の記録を始めた
- ✅ 工事の見積書に「修繕」「原状回復」など目的を明記してもらった
- ✅ 青色申告承認申請書の期限(3月15日)を確認して提出した
- ✅ 物件専用の口座とカードを用意し、領収書は週1回取り込む
- ✅ 判断に迷う点は税理士に確認し、最新の制度を国税庁の案内で確かめた
📌 この記事のまとめ
- 賃貸収入の申告は「事業的規模かどうか」で扱いが変わりますが、規模が小さくても青色申告の控除は使えます。まず自分の区分を確認しましょう。
- 計上漏れしやすいのは交通費・ガソリン代・通信費。修繕費と資本的支出は工事の目的で分かれるので、見積書に目的を書いてもらうのが最も簡単な対策です。
- 青色申告の申請、物件専用口座、週1回の入力。この仕組みで来年の2月は慌てません。金額や要件は年度で変わるので最新の情報で確かめ、迷う点は税理士に相談してください。


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