「自分でやれば安い」と思って失敗した修繕ワースト5と、プロに任せるべき理由

📖 自分でやれば安い、は本当?

1

退去後の部屋。クロスの張替えが必要
クロスくらい自分で貼れるでしょ!材料費だけで済むし!
2

内見の人に「ここ、直してもらえますか」って言われた…
ガーン
継ぎ目のずれと空気の混入。週末2日が無駄に
3

材料費、時間、道具、そして業者の貼り直し代。全部足してみた?
築古転生士(元設備設計士 × 大家)のひと言
4

DIYの本当のコストは材料費じゃないんだ!
ピカーン!
安全・影響範囲・見た目の3つで線引きする
5

網戸や棚はDIY、水回りと電気はプロ。線引きができた!
DIYは節約の手段ではなく建物を知る手段

— 記事本文へ続く —

「クロスくらい自分で貼れるだろう」。そう考えた大家さんが週末を丸2日使って貼ったクロスは、継ぎ目が目立ち、空気が入り、内見に来た人から「ここ、直してもらえますか」と言われました。結局、業者に剥がして貼り直してもらい、材料費と自分の時間がそっくり無駄になったそうです。

DIYそのものが悪いわけではありません。筆者も簡単な作業は自分でやります。ただ、築古物件の修繕には「素人がやると安くならない工事」と「そもそも自分でやってはいけない工事」があります。本記事では、元設備設計士で築古物件を自主管理する筆者が、実際に見聞きしたDIYの失敗ワースト5と、プロに任せるべき理由を整理します。

読み終える頃には、「これは自分でやる」「これは頼む」の線引きが自分の中にでき、DIYを費用対効果の高い選択として使えるようになります。

📖 この記事でわかること

大家がDIYで失敗しやすい修繕ワースト5と、なぜ安く済まなかったのかの理由がわかります。さらに、DIYで問題ない工事と、資格や安全の面でプロに任せるべき工事の線引きを、判断基準つきで確認できます。

目次

💥 実例: 大家のDIY失敗ワースト5

筆者がこれまでに相談を受けたり、自分で痛い目にあったりしたDIYの失敗を、影響の大きさで並べました。共通しているのは「作業そのものは簡単に見えた」ことです。動画を見れば手順は分かる。しかし、手順が分かることと、賃貸物件として通用する仕上がりにできることは別問題でした。

第5位はクロスの張替えです。継ぎ目のずれ、空気の混入、下地処理の甘さによる凹凸。内見で最も目に付く場所だけに、仕上がりの差がそのまま空室期間に響きます。第4位は床のクッションフロア。端部の処理と継ぎ目の隙間から水が入り、数か月で浮きや黒ずみが出た例があります。

第3位は水栓・パッキンの交換です。締め付けの加減を誤って配管を傷め、下階への水漏れにつながったケースを聞きました。部品代は数百円でも、水漏れの被害は桁が変わります。第2位は外壁やベランダの防水補修。市販の補修材で応急処置をしたものの、下地の処理不足で1年持たず、結局は広い範囲をやり直す工事になりました。

そして第1位は、コンセントや照明などの電気工事です。感電や火災の危険があるうえ、そもそも一定の電気工事は有資格者でなければ行えないことが法律で定められています。「安く済ませた」つもりが、安全と法令の両方でリスクを抱える結果になります。

順位はあくまで筆者の経験に基づく目安ですが、上位ほど「見た目」ではなく「安全と建物の寿命」に関わる工事になっていることに注目してください。DIYの失敗は、仕上がりの問題から始まり、安全の問題で終わります。

順位 工事 よくある失敗 影響
5位 クロス張替え 継ぎ目のずれ、空気の混入、下地の凹凸 内見の印象が下がり空室が長引く
4位 クッションフロア 端部と継ぎ目の処理不足 水が入り数か月で浮き・黒ずみ
3位 水栓・パッキン交換 締め付けの誤りで配管を傷める 下階への水漏れ
2位 外壁・ベランダの防水 下地処理不足で早期に剥離 広範囲のやり直し工事
1位 電気工事 資格が必要な作業に手を出す 感電・火災、法令違反

🧭 考え方: なぜ「自分でやれば安い」が安くならないのか

DIYが安くならない理由は4つあります。1つ目は材料費の差です。プロは職人価格で材料を仕入れ、余った材料も次の現場で使えます。大家が少量を小売りで買うと、単価は高くなり、余りは無駄になります。クロス1部屋分でも、この差は意外に大きいものです。

2つ目は時間です。プロが半日で終える作業に、大家は週末2日を使います。本業がある大家にとって、その2日は貴重な休息か、別の物件を見に行く時間だったはずです。自分の時間を時給に換算すると、DIYの「節約」は思ったより小さいことが分かります。

3つ目はやり直しの費用です。失敗して業者に頼む場合、業者はまずDIYの跡を剥がす・撤去するところから始めます。最初から頼むより手間が増えるため、費用も上がりがちです。「安く済ませようとして、最初から頼むより高くついた」という話は、決して珍しくありません。

4つ目は道具と知識です。下地処理、養生、工具の扱いは、一度の作業のために揃えるには重すぎます。北海道のように冬の乾燥や結露が強い環境では、接着や乾燥の条件も本州の動画どおりにはいきません。プロが持っている「その土地での経験」は、材料費には表れないコストです。

冒頭の大家さんは、クロスの貼り直しにかかった費用を計算して驚いたそうです。自分で買った材料と道具、休日2日分の時間、そして業者による剥がしと貼り直しの費用。合計すると、最初から業者に頼んだ場合を明らかに上回っていました。「安くしようとして高くついた」という言葉を、この大家さんは今も自分への戒めにしていると話していました。

つまり、DIYで本当に安くなるのは「材料が少量で済み、失敗しても影響が小さく、道具が要らず、自分が楽しめる作業」に限られます。この条件をすべて満たすものは、意外と少ないのです。

💡 ポイント

DIYの本当のコストは材料費ではなく、時間・やり直し・道具・土地ごとの経験です。この4つを足して、業者の見積もりと比べてみてください。

✅ やり方: DIYで良い工事と、プロに任せる工事の線引き

線引きの基準は3つです。1つ目は「安全と法令」。電気、ガス、給湯器まわり、高所作業は、資格や安全設備が必要な領域で、大家がやってよい範囲はごく限られます。ここは迷わずプロです。分からない場合は、作業を始める前に業者や専門家に「これは自分でやってよいか」を確認してください。

2つ目は「失敗したときの影響範囲」です。水と構造に関わる作業は、失敗が自分の部屋の中で収まりません。下階への水漏れ、外壁からの浸水、下地の腐食。こうした作業は、成功したときの節約より、失敗したときの損失の方がはるかに大きいのでプロに任せます。

3つ目は「見た目が商品価値に直結するか」です。クロスや床は内見での第一印象を決めるので、仕上がりに自信がなければ頼む方が結果的に安くなります。一方で、収納内部の棚板や、入居者の目に触れにくい場所の補修は、多少の粗さが許されます。

この基準で残るDIY向きの作業は、たとえば網戸の張替え、ドアの調整、収納内部の補修、簡単な塗装、掃除や消耗品の交換などです。これらは材料が少なく、失敗しても影響が小さく、大家自身が建物を知る良い機会にもなります。

大切なのは、DIYを「節約の手段」ではなく「建物を知る手段」と考えることです。自分で手を動かした経験があると、業者の説明や見積もりの中身が理解できるようになります。安全な範囲でDIYを楽しみ、その先はプロに任せる。その使い分けができる大家は、費用も品質も両方守れます。

  • ✅ 電気・ガス・給湯器・高所作業ではないか(該当すればプロ)
  • ✅ 失敗したとき被害が自分の部屋の外に広がらないか
  • ✅ 内見での第一印象に関わる場所ではないか
  • ✅ 材料が少量で、専用の道具を買わずに済むか
  • ✅ 自分の時間を時給換算しても、業者より安いか

⚠️ 注意

コンセントの増設や照明配線などの電気工事は、資格を持つ業者に依頼してください。自分でできる範囲が分からないときは、作業前に専門家へ確認するのが安全です。

📌 この記事のまとめ

  • DIYの失敗は仕上がりの問題から始まり、水漏れや電気の安全の問題で終わります。上位の工事ほど、プロに任せる理由が明確です。
  • 「自分でやれば安い」が安くならないのは、時間・やり直し・道具・土地ごとの経験という見えないコストがあるからです。
  • 安全と法令、失敗の影響範囲、見た目の商品価値。この3つで線引きし、残ったDIY向きの作業を楽しみましょう。

その見積もり、頼む前に見せてください

元設備設計士の筆者が、修繕の見積書を「一式」の中身まで読んで、高いか安いか・何を確認すべきかをお伝えします。まずはお問い合わせフォームから見積書の内容をお送りください。

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