📖 1社の見積もりで、契約寸前
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札幌市白石区の築28年アパートで、外壁塗装の見積もりが1社で398万円。若い大家さんは「こんなものか」と契約寸前でした。3社の相見積もりを取り直したところ、同じ仕様で348万円の業者が見つかりました。差額は50万円。家賃5万円の部屋なら、10か月分の家賃が消えるところでした。
「業者の言い値のまま払うのは不安。でも複数社への頼み方も分からないし、断るのも気まずい」。そうして1社で決めて、後から数十万円の差に気づく大家さんが後を絶ちません。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、業者に嫌がられない相見積もりの依頼の仕方、書式がバラバラな見積書を横並びにする統一フォーマット、そして金額だけで選ばずに後悔しない総合評価の方法を整理します。
読み終える頃には、相見積もりを「気まずい行為」ではなく「自分を守る安全装置」として、堂々と使えるようになります。
📖 この記事でわかること
相見積もりで50万円の差が出た実例と、同じ条件で依頼する重要性がわかります。3社に絞る・同じ内容を渡す・正直に伝える・期限を切るという4ポイント、見積書を横並びにする統一フォーマットと5つのチェック、価格・透明性・保証・実績・対応の100点評価を表とチェックリストで確認できます。
📋 考え方: 相見積もりは「同じ条件」で3社に、正直に頼む
冒頭の例で重要なのは、「同じ条件」で依頼したことです。条件がバラバラだと、金額の差が業者の差なのか仕様の差なのか分からなくなります。依頼時のポイントは4つ。3社に絞って依頼する(2社では比較不足、5社以上は対応が大変)。工事範囲・希望グレード・現状写真を全社に同じ内容で渡す。「相見積もりです」と正直に伝える。回答期限を「2週間後まで」など明確に区切る。
「相見積もりです」と伝えるのは、失礼ではありません。業者にとっては日常茶飯事で、隠す方が信頼を失います。むしろ「比較される前提」が伝わると、最初の見積もりから適正な価格が出てきます。断るときも「今回は他社にお願いしました。次回また相談させてください」の一言で十分です。断った業者が次の相見積もりで一番安い見積もりを出してくることも、実際によくあります。
北海道なら「下塗りを含む3回塗り・凍害部の補修込み」など、寒冷地仕様を明記すると条件が揃いやすくなります。仕様を書かずに頼むと、A社は3回塗り、B社は2回塗りで、安い方が手抜きだった、ということが起きます。
設備設計の仕事では、同じ図面と仕様書を複数の施工会社に渡して見積もりを取るのが当たり前です。大家がやることも同じで、「図面」の代わりに現状写真と工事範囲のメモを渡せば十分です。
相見積もりは値切りの道具ではなく、適正価格を知るための安全装置です。この4つを守るだけで、業者と対等に話せる土台が整います。
💡 ポイント
相見積もりは3社・同じ条件・正直に・期限つき。寒冷地仕様(3回塗り・凍害補修込み)を明記すれば、金額の差が仕様の差ではなく業者の差になります。
📊 やり方: 見積書を横並びにする統一フォーマット
3社の見積書が届くと、次の壁にぶつかります。書式が全社バラバラで、どこを比べればいいのか分からない。「一式」とだけ書かれた項目もあり、合計金額しか見るところがない気がしてきます。
そこで役立つのが、自分で作る統一フォーマットです。表計算でも手書きでも構いません。各社の見積書から数字を拾い、仮設足場、外壁塗装(3回塗り)、付帯部・下地補修、諸経費・廃材処分、合計、保証年数、の行に転記して横並びにします。
冒頭の例を並べると、足場はA社70万円・B社62万円・C社55万円、塗装は210万円・188万円・180万円、下地補修は一式68万円・70万円・65万円、諸経費は50万円・52万円・48万円、合計は398万円・372万円・348万円、保証は5年・8年・10年でした。合計だけでは見えなかった差がはっきりします。
極端に安い項目は手抜きや後の追加請求のサイン、極端に高い項目は交渉の余地がある部分です。転記しながら5点をチェックします。塗料のメーカー名・商品名・塗り回数が明記されているか。「一式」の項目に内訳の説明をもらったか。数量(㎡・m)が3社でほぼ一致しているか。保証年数とアフター点検の有無を確認したか。追加費用が発生する条件を書面で確認したか。
数量が3社で大きく違う場合は、誰かが測り間違えているか、範囲の解釈が違っています。そこを聞き直すだけで、見積もりの精度が上がります。ここまで整理できれば、もう「なんとなく」で選ぶ必要はありません。
| 比較項目 | A社 / B社 / C社 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 仮設足場 | 70 / 62 / 55万円 | 面積の数量が揃っているか |
| 外壁塗装(3回塗り) | 210 / 188 / 180万円 | 塗料名と塗り回数の明記 |
| 付帯部・下地補修 | 一式68 / 70 / 65万円 | 一式は内訳を聞く |
| 諸経費・廃材処分 | 50 / 52 / 48万円 | 工事費の10〜15%が目安 |
| 合計・保証年数 | 398・5年 / 372・8年 / 348・10年 | 総額と保証をセットで見る |
⚠️ マインド: 金額だけで選ばない。5項目100点の総合評価
見積もり比較で最も多い失敗が、最安値選びです。「30万円安いから」と評価せずに即決したら、塗り回数を減らされ5年で外壁が劣化。再塗装に300万円かかり、「安物買いの銭失い」になった例があります。30万円の安さに飛びついて、300万円の出費を招いた計算です。
そこでおすすめなのが、点数による総合評価です。筆者は5項目を各20点満点、合計100点で採点しています。価格(適正範囲内か。最安というだけで満点にしない)。内訳の透明性(数量や塗料名まで開示しているか)。保証・アフター(保証書の発行と定期点検があるか)。実績(同種・同地域の施工例があるか。寒冷地なら凍害補修の経験)。対応(質問への回答が早く、説明が具体的か)。
冒頭の3社を採点すると、C社は価格18点、透明性18点、保証20点、実績16点、対応18点の90点。A社は価格10点、透明性12点、保証12点、実績18点、対応14点の66点でした。C社が選ばれたのは最安だからではなく、点数が一番高かったからです。
点数にすると、感情が入りにくくなります。「感じが良かった」「長い付き合いだから」という理由は、5項目のどこにも入っていません。それでいいのです。人柄は工事の品質を保証しません。点数を書き残しておけば、次の工事で同じ業者を選ぶ根拠にもなります。
冒頭の大家さんは、その後の修繕で毎回この100点表を使うようになり、「気まずいから1社」という発想がなくなりました。今日やることは、手元にある見積書を1枚、この記事の統一フォーマットに転記してみること。1枚では比較できないと気づいた瞬間から、相見積もりが始まります。
- ✅ 3社に絞り、工事範囲・グレード・現状写真を同じ内容で渡した
- ✅ 「相見積もりです」と正直に伝え、回答期限を2週間などで区切った
- ✅ 寒冷地仕様(3回塗り・凍害補修込み)を明記した
- ✅ 統一フォーマットに転記し、数量・塗料名・一式の内訳・保証・追加条件を確認した
- ✅ 価格・透明性・保証・実績・対応の5項目を各20点で採点した
- ✅ 最安値ではなく、合計点が一番高い業者を選んだ
📌 この記事のまとめ
- 相見積もりは3社・同じ条件・正直に・期限つきで頼む。同じ仕様で50万円の差が出るのは珍しくなく、気まずさを隠す方が信頼を失います。
- 書式がバラバラな見積書は、足場・塗装・下地補修・諸経費・保証年数の統一フォーマットに転記すれば、合計だけでは見えない差がはっきりします。
- 最安値で選ぶと再修繕で高くつきます。価格・透明性・保証・実績・対応の5項目100点で採点し、まずは手元の見積書を1枚フォーマットに転記してください。
その見積もり、頼む前に見せてください
元設備設計士の筆者が、修繕の見積書を「一式」の中身まで読んで、高いか安いか・何を確認すべきかをお伝えします。まずはお問い合わせフォームから見積書の内容をお送りください。


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