💬 「あの業者、安かったから」——その一言を、一生悔やむかもしれません。
修繕を後回しにした末に、入居者から損害賠償を請求される。そんな結末が実際に起きています。原因の多くは、建設業許可を持たない業者への安易な発注です。でも、安心してください。許可の有無は、たった一つの金額基準で見抜けます。読み終える頃には、どんな見積書が来ても落ち着いて業者を選べるあなたに変わっていますよ。
📘 この記事でわかること
- 建設業許可の種類と「軽微な工事」の金額基準
- 許可が必要な工事かどうかを5分で判断する手順
- 無許可業者に発注した場合に大家が背負うリスク
建設業許可の種類と「軽微な工事」の定義
なぜ、安さで選んだだけで損害賠償にまで発展するのか。その分かれ道が、まさにこの建設業許可です。
建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負うために必要な、建設業法上の許可です。営業所の場所で国土交通大臣許可と知事許可に分かれます。さらに、下請けに出す金額で一般と特定に分かれます。
ただし、大家さんがまず押さえるべきポイントはひとつだけです。それは、「軽微な工事」なら許可がなくても請け負えるという線引きです。基準は次のとおりです。
| 工事の区分 | 許可が不要な「軽微な工事」の基準 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 請負代金1,500万円未満(税込)、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事 |
| それ以外の専門工事 (塗装・屋根・管工事など) | 請負代金500万円未満(税込) |
つまり、クロス張替え20万円や給湯ボイラー交換40万円は、許可なしでも合法です。一方、屋根葺き替えと外壁改修で600万円なら、許可業者でなければ請け負えません。
この500万円というラインを知っているだけで十分です。見積書を見た瞬間に、許可業者に頼むべき工事かを自分で見抜けます。業者の言いなりにならない大家さんは、ここで差がつくのです。
許可不要な工事・必要な工事の判断フローチャート
大家さん、見積書をよく見ずに「お任せします」と言ってしまった経験はありませんか。その一言が、後の悲劇の入口になることがあります。でも大丈夫です。確認はとても簡単で、慣れれば5分もかかりません。
| 手順 | 確認すること |
|---|---|
| STEP1 | 請負代金の合計を税込で確認する(材料を施主支給にしても材料費込みで判断される) |
| STEP2 | 専門工事なら500万円以上、建築一式なら1,500万円以上で建設業許可が必要と判断する |
| STEP3 | 許可が必要なら、業者の許可番号を見積書・許可票・国土交通省の「建設業者検索システム」で確認する |
| STEP4 | 500万円未満でも、賠償責任保険の加入有無と過去の施工実績を確認する |
ここで注意したいのが分割契約です。620万円を「320万円+300万円」に分けても、合算で判断されます。分割を提案してくる業者は、その時点で候補から外すのが安全ですよ。
北海道では事情が変わります。無落雪屋根への改修や外壁断熱改修は、1回で500万円を超えることが珍しくありません。寒冷地の大家さんほど、許可の確認が欠かせないのです。
この4ステップを習慣にすれば、どんな見積書が来ても動じません。あなたは「カモにされる大家」から「業者に一目置かれる大家」へと変わっていきます。
無許可業者に発注してしまった場合のリスク
確認の力が身についたあなたへ、最後に冒頭の「最悪の結末」を具体的に見ておきましょう。これを知れば、二度と安さだけで業者を選ぼうとは思わなくなります。
札幌で築28年のアパートを持つAさん。屋根の傷みを3年間「まだ大丈夫」と後回しにしていました。雨漏りが悪化し、慌てて相場より100万円安い業者に620万円の工事を発注します。契約は2本に分割され、その業者は建設業許可を持っていませんでした。
結果、施工不良で融雪水が室内へ侵入。入居者の家財が水浸しになりました。約80万円の損害賠償とやり直し工事の費用を、Aさんは二重に背負います。「あのとき許可だけでも確認していれば」。Aさんが何度もこぼした言葉です。
このケースで重要なのは、業者が無許可でも、責任は大家に来るという点です。民法717条の工作物責任があるからです。建物の欠陥で損害が出れば、所有者は過失がなくても賠償責任を負います。
- 無許可営業の業者には3年以下の懲役または300万円以下の罰金がありますが、大家の賠償責任は消えません
- 無許可業者は賠償責任保険に未加入のことが多く、施工不良の補償を受けられない恐れがあります
- 倒産や連絡不通になれば、瑕疵(かし=施工上の欠陥)の補修請求すらできなくなります
許可を確認するひと手間は、入居者の暮らしと、あなた自身の誇りを守る行動です。正しい業者に正しく頼む。それだけで、損害賠償という未来は遠ざかります。そして「この大家さんなら安心だ」と、入居者から信頼される物件になっていきますよ。
📌 この記事のまとめ
- 建設業許可が不要な「軽微な工事」は、専門工事で税込500万円未満、建築一式で1,500万円未満が基準です
- 発注前は「税込合計→基準額→許可番号→保険加入」の4ステップで確認しましょう。分割契約の提案は危険信号です
- 建物の欠陥による損害は、無過失でも所有者の責任になります。許可の確認ができる大家さんは、入居者からも業者からも信頼される存在です
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