大家業を始めて最初の修繕で15万円余分に払った話と、次から絶対にやること

📖 最初の修繕で、15万円

1

物件を買って最初の退去。ユウは管理会社に「お任せします」と言った
原状回復ですね。初めてで分からないので、全部お任せします
2

請求書33万円…全面クロス、床全部、鍵交換、クリーニング…相場なら18万円…
ガーン
「お任せします」は、上限なしの発注だった
3

頼む前に決めるのは3つだけ。どこまで、いくらまで、何のために。それで15万円は消える
築古転生士(元設備設計士 × 大家)のひと言
4

汚れた1面だけ、上限20万円、次の入居者が困らない水準。先に言えばよかった!
ピカーン!
発注は「頼む前」に9割決まる
5

退去立会いは自分で行く。見積もりは明細つき。10万円超は2社目、と
次の修繕から変わる、3つの習慣
6

2回目の退去は自分で立ち会って、クロス1面と清掃で9万円。同じ間取りで
15万円は、次の全ての修繕で取り返せる

— 記事本文へ続く —

物件を買って最初の退去。若い大家さんは管理会社に「初めてで分からないので、全部お任せします」と言いました。届いた請求書は33万円。全面のクロス張替え、床の全面張替え、鍵交換、クリーニング。後で相場を調べると、同じ間取りなら18万円前後。15万円を余分に払っていました。

「お任せします」は、上限なしの発注と同じです。最初の修繕で余分に払う大家さんは多く、原因は交渉下手ではなく、頼む前に「どこまで・いくらまで・何のために」を決めていないことにあります。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、余分に払ってしまう典型的な3パターン、頼む前に決めておく3つのこと、そして次の修繕から変わる3つの習慣を整理します。

読み終える頃には、次の退去で「お任せします」と言わなくなり、同じ間取りの修繕を半分の金額で終えられるようになります。

📖 この記事でわかること

最初の修繕で15万円を余分に払う3パターン(お任せ発注・全面交換の思い込み・立会い不参加)がわかります。頼む前に決める範囲・上限・目的の3つ、部分補修とグレード調整の考え方、退去立会いに自分で行く・明細つき見積もり・10万円超は2社目という3つの習慣を表で確認できます。

目次

⚠️ 考え方: 余分に払ってしまう典型的な3パターン

最初の修繕で余分に払う大家さんには、共通するパターンが3つあります。1つ目は「お任せ発注」。範囲も上限も決めずに頼むので、業者は最も安全な(つまり最も広い)工事を提案します。悪気はなく、「後で足りないと言われるより、全部やっておく」のが業者の合理性だからです。「全部やっておく」提案を断る材料は、大家の側にしかありません。

2つ目は「全面交換の思い込み」。クロスは1面が汚れていれば全面、床は1か所のへこみで全面、と考えてしまう。実際には、汚れた1面のアクセントクロス化で1万5,000〜2万5,000円、床は部分補修で1〜3万円で済むことが多い。6畳全面のクロスが4万8,000円のところ、1面なら1万2,000円です。

3つ目は「立会い不参加」。退去の立会いに自分で行かないと、何が入居者負担で何が大家負担かの判断を、管理会社に委ねることになります。入居者の故意・過失による傷は入居者負担のはずが、全部大家負担として請求されていることもあります。退去精算は、証拠と立会いで決まります。管理会社が悪いのではなく、判断を委ねた側が損をする仕組みです。

冒頭の33万円を分解すると、クロス全面12万円(1面なら2万円)、床全面10万円(部分なら3万円)、鍵交換2万円、クリーニング4万円、諸経費5万円。範囲を決めて、立会いに行っていれば、18万円前後で済んだ計算です。

設備設計の現場で発注が高くなる理由も同じです。仕様を決めずに「良いようにやって」と言えば、施工者は安全側に振った見積もりを出します。大家の修繕も、発注は「頼む前」に9割決まっています。

パターン 何が起きるか 冒頭の例での差額
お任せ発注 業者は最も広い工事を提案する 諸経費込みで全体が1.5倍
全面交換の思い込み 1面・1か所で済むものを全面に クロス10万円、床7万円
立会い不参加 入居者負担分も大家負担で請求 本来は入居者負担の分

📋 やり方: 頼む前に決めておく3つのこと

頼む前に決めるのは3つだけです。範囲(どこまで直すか)。上限(いくらまでか)。目的(何のために直すか)。この3つを業者に伝えてから見積もりを頼むと、「お任せ」が「発注」に変わります。

範囲は、退去後の部屋を自分で見て決めます。汚れているのはどの面か、床のへこみは何か所か、設備で動かないものは何か。写真を撮りながら「直すリスト」を作る。10分で終わります。リストにないものを業者が提案してきたら、「それは今回やりますか」と聞き直せばいい。「直すリスト」は、そのまま見積もりの依頼書にもなります。

上限は、相場から決めます。1Kの原状回復なら、クロス1面と床の部分補修とクリーニングで8〜12万円が目安。「20万円までで」と先に言っておけば、業者はその中で優先順位をつけて提案してくれます。上限を言うのは失礼ではなく、業者にとっても判断しやすい情報です。

目的は、「次の入居者が困らない水準」です。築古物件を新築同等に戻す必要はありません。「原状回復」と目的を明確にすれば、グレードアップの提案は自然に減ります。逆に「家賃を上げたい」が目的なら、水回りの部分交換など、効く場所に予算を寄せます。目的が違えば、正解の工事も違います。目的を伝えると、業者の提案も「原状回復に必要な最小限」に寄っていきます。

この3つを書いた1枚のメモを、見積もり依頼と一緒に業者に渡してください。「範囲:クロス北面1面と床の部分補修とクリーニング。上限:12万円。目的:原状回復」。この1枚で、33万円の請求書は来なくなります。

💡 ポイント

頼む前に決めるのは範囲・上限・目的の3つ。「クロス1面と床の部分補修と清掃、上限12万円、原状回復」の1枚のメモを見積もり依頼に添えるだけで、お任せは発注に変わります。

🔁 マインド: 次の修繕から変わる3つの習慣

15万円の授業料は、次の修繕から取り返せます。変える習慣は3つ。退去の立会いに自分で行く。見積もりは明細つきでもらう。10万円を超えたら2社目に聞く。

退去の立会いは、入居者と一緒に部屋を見て、傷や汚れを写真に撮り、どちらの負担かをその場で確認する時間です。入居時の写真があれば、比較して判断できます。自分で行けば、「この傷は入居時からあった」「これはタバコのヤニ」と、負担の区分をその場で決められます。1時間の立会いが、数万円を守ります。立会いの日は、スマホと入居時の写真、この記事のチェックリストを持っていくだけで十分です。

見積もりの明細は、「クロス○㎡×単価」「床○㎡×単価」と書かれたもの。「原状回復一式」の見積書は、比較も判断もできないので、内訳を求めます。明細があれば、範囲のメモと突き合わせて「これは頼んでいない」に気づけます。

10万円を超えたら2社目に聞く。毎回3社の相見積もりを取る必要はありませんが、10万円を超える工事は、別の1社に同じ範囲で見積もりを頼むだけで、相場からのズレが分かります。2社目が5万円安ければ、1社目に理由を聞く。それだけです。相見積もりの正しい取り方は別の記事で詳しく書いているので、そちらも参考にしてください。

冒頭の大家さんは、2回目の退去で自分で立ち会い、範囲と上限を書いたメモを渡し、明細つきの見積もりで9万円で終えました。同じ間取りで、1回目の33万円の3分の1以下です。「最初の15万円は、次の全部の修繕で取り返している」と話していました。今日やることは、次の退去予定を確認して、立会いの日に自分の予定を入れることです。

  • ✅ 退去後の部屋を自分で見て、写真つきの「直すリスト」を作った
  • ✅ 範囲・上限・目的を書いた1枚のメモを見積もり依頼に添えた
  • ✅ 「次の入居者が困らない水準」を目的にし、全面交換の思い込みを外した
  • ✅ 退去の立会いに自分で行き、入居時の写真と比べて負担区分を決めた
  • ✅ 見積もりは「一式」ではなく明細つきでもらった
  • ✅ 10万円を超える工事は2社目に同じ範囲で見積もりを頼んだ

📌 この記事のまとめ

  • 最初の修繕で余分に払うのは、お任せ発注・全面交換の思い込み・立会い不参加の3パターン。「お任せします」は上限なしの発注と同じです。
  • 頼む前に範囲・上限・目的の3つを決め、1枚のメモにして業者に渡す。「クロス1面と床の部分補修と清掃、上限12万円、原状回復」で、33万円の請求書は来なくなります。
  • 退去立会いに自分で行く、明細つき見積もり、10万円超は2社目。この3つの習慣で、同じ間取りの修繕が3分の1になります。まずは次の退去の立会い日に予定を入れてください。

その見積もり、頼む前に見せてください

元設備設計士の筆者が、修繕の見積書を「一式」の中身まで読んで、高いか安いか・何を確認すべきかをお伝えします。まずはお問い合わせフォームから見積書の内容をお送りください。

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