📖 税金、3つの違いが分からない
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5月に固定資産税の納付書が届いた若い大家さんは、「これは確定申告と別なのか」「消費税も払うのか」と、税金の種類の違いが分からずに困っていました。前年の申告を見直すと、固定資産税を経費に入れ忘れていて、10万円以上も税金を多く払っていたことが分かりました。
大家に関わる税金は、大きく3つです。物件を「持っている」ことにかかる固定資産税、家賃で「稼いだ」ことにかかる所得税(と住民税)、そして「売った・貸した」ときに関係することがある消費税。本記事では、元設備設計士で、札幌で築古物件を自主管理する筆者が、この3つの仕組みと、経費の入れ忘れを防ぐ整理の仕方、年間の税の流れを新米大家向けにまとめます。税の制度は年度で変わるので、金額や要件は最新の情報を確認し、判断に迷う点は税理士に相談する前提の「基礎の地図」として読んでください。
読み終える頃には、届いた納付書がどの税かがすぐ分かり、確定申告で何を経費に入れるかを迷わなくなります。
📖 この記事でわかること
大家の税金が固定資産税・所得税・消費税の3つに整理でき、それぞれが何にかかるかがわかります。住宅用地の軽減、不動産所得の経費に入るもの、住居の家賃に消費税がかからない理由、年間の税のカレンダーを表とチェックリストで確認できます。
🏠 考え方: 「持つ税」固定資産税の仕組みと軽減
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地と建物を持っている人にかかる税金で、市町村が計算して納付書を送ってきます。税額は「固定資産税評価額 × 税率(標準は1.4%)」で、都市計画区域内なら都市計画税(最大0.3%)も一緒に来ます。評価額は市町村が決めるもので、購入価格とは別の数字です。
住宅が建っている土地には軽減があります。住宅用地の特例で、1戸あたり200㎡までの部分は評価額が6分の1、それを超える部分は3分の1で計算されます。アパートの場合は「戸数 × 200㎡」まで6分の1になるので、築古アパートの土地の固定資産税は、更地の場合よりかなり安くなっています。
納付は年4回に分けるのが一般的で、札幌市なら4〜5月に納付書が届き、以降は3か月ごとが目安です。ここで大切なのは、固定資産税と都市計画税は全額が不動産所得の経費になること。冒頭の大家さんの入れ忘れは、まさにここでした。納付書は捨てずにファイルに入れ、確定申告のときに合計します。
評価額は3年に1度見直されます。築古物件の建物の評価額は年々下がり、一定のところで下げ止まります。「評価額が高すぎるのでは」と感じたら、市町村の窓口で評価の根拠を聞くことができ、納付書が届いてから一定期間内なら審査の申し出もできます。ただし、これは例外的な手続きで、まずは納付書の内訳を読むところからです。
固定資産税は、大家が何もしなくても毎年必ず来る「持つ税」です。家賃収入から先に取り分けておく感覚で、修繕積立と同じように毎月の収支に組み込んでおくと、5月に慌てません。
💡 ポイント
固定資産税は「持っている」ことにかかる税で、市町村が計算して納付書が来ます。全額が経費になるので、納付書は捨てずに確定申告で合計しましょう。
🧾 やり方: 「稼ぐ税」所得税の計算と、経費に入るもの
家賃収入には所得税と住民税がかかります。対象は「不動産所得」で、計算は「年間の家賃収入 − 必要経費」です。ここに給与所得などを合算して、税率が決まります。給与以外の所得が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。
経費に入るものを整理すると、固定資産税と都市計画税、火災保険や地震保険の保険料、管理委託料、修繕費、共用部の光熱費、ローンの利息(元本は経費にならない)、減価償却費(建物の取得費を耐用年数で分けて経費にするもの)、物件を見に行く交通費やガソリン代、通信費の使用分、税理士への報酬、書籍代やセミナー参加費です。
逆に経費にならないのは、ローンの元本の返済分、自宅の生活費、所得税や住民税そのもの。判断に迷うものは「これは物件のためか」と一度問い、根拠(誰と、どこへ、何のために)をメモしておきます。
修繕費と資本的支出の区分も、所得税の計算に大きく効きます。原状回復や維持管理が目的の工事はその年の経費、性能を上げたり耐用年数を延ばす工事は資本的支出として減価償却。見積書に「修繕」「原状回復」と目的を書いてもらうと、申告でも説明しやすくなります。詳しくは別の記事で扱っているので、そちらも参考にしてください。
所得税で使える仕組みとして、青色申告の特別控除があります。事業的規模(目安として5棟10室以上)なら大きい方の控除、そうでなくても小さい方の控除が使えます。控除額や要件は制度で変わるので、最新の国税庁の案内で確認してください。冒頭の大家さんは翌年、固定資産税も保険料も全部経費に入れて申告し、迷った点は税理士に聞いたことで、税額が前年より大きく下がりました。
| 税金 | 何にかかるか | 大家がやること |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 土地と建物を持っていること | 納付書で納める。全額を経費に入れる |
| 所得税・住民税 | 家賃で稼いだ利益(家賃 − 経費) | 確定申告で不動産所得を計算する |
| 消費税 | 課税の対象になる取引 | 住居の家賃は非課税。駐車場や店舗は注意 |
| 不動産取得税・登録免許税 | 買ったとき(1回だけ) | 購入時の諸費用として把握 |
📅 マインド: 消費税が関係する場合と、年間の税のカレンダー
消費税は、多くの新米大家には関係が薄い税です。住居として貸す家賃は消費税が非課税なので、アパートの家賃には消費税がかかりません。関係が出てくるのは、住居以外の貸し方をしている場合です。事務所や店舗として貸す家賃、住居と別契約の駐車場代、太陽光の売電などは課税の対象で、これらの課税売上が年間1,000万円を超えると、課税事業者として消費税の申告が必要になります。
また、物件を売却するときは、建物部分の代金が課税売上になることがあります(土地は非課税)。売却を考えるときは、この点も含めて税理士に確認してください。住居の家賃だけの大家なら、消費税は「いまは関係ない。貸し方が変わったら確認する」で十分です。
税金で一番の敵は「いつ何が来るか分からない」ことです。年間のカレンダーを1枚作っておくと楽になります。1〜3月は確定申告の準備と提出(3月15日まで)。4〜5月に固定資産税の納付書が届き、以降3か月ごとに納付。6月に住民税の通知。冬は札幌なら除雪費や凍結対応の領収書が増えるので、月ごとに記録する。
税の基礎を知っている大家は、税理士との会話が短く済みます。「固定資産税は経費に入れましたか」「この工事は修繕費ですか」と聞かれたときに答えられれば、それだけで申告の精度と費用が変わります。逆に基礎がないと、税理士に渡す領収書の範囲すら決められません。
この記事に書いた税率や控除額は、記事を書いた時点の一般的な目安です。制度は変わるので、実際の申告では最新の情報を確認し、迷う点は税理士に相談してください。まずは、手元の納付書を「持つ税」「稼ぐ税」に分けてファイルするところから始めてください。
- ✅ 固定資産税・都市計画税の納付書をファイルし、確定申告で全額を経費に入れた
- ✅ 住宅用地の軽減(200㎡まで6分の1)が納付書に反映されているか確認した
- ✅ 不動産所得の経費(保険料・管理料・修繕費・利息・減価償却・交通費)を漏れなく記録した
- ✅ 修繕費と資本的支出を工事の目的で分け、見積書に目的を書いてもらった
- ✅ 住居以外の貸し方(店舗・駐車場)がある場合は消費税の扱いを確認した
- ✅ 年間の税のカレンダーを作り、迷う点は税理士に相談した
📌 この記事のまとめ
- 大家の税金は「持つ税」の固定資産税、「稼ぐ税」の所得税、「売った・貸した」で関係する消費税の3つに整理できます。
- 固定資産税は全額が経費で、住宅用地には軽減があります。所得税は家賃から経費を引いた不動産所得にかかり、経費の入れ忘れが最大の損です。住居の家賃に消費税はかかりません。
- 年間のカレンダーを1枚作り、納付書をファイルする。金額や要件は年度で変わるので最新の情報を確認し、迷う点は税理士に相談してください。


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